ウイスキーの聖地とも言われるスコットランドのアイラ島。ここで造られるウイスキーは強いスモーキーな香りが特徴で「アイラモルト」と呼ばれています。
その中でも特にピート香が強烈で個性的なのが「アードベッグ」です。
今回は、アードベッグの種類とそれぞれの味わい、おすすめの飲み方を紹介します。また、歴史や製法などを解説します。
Contents
アードベッグの種類
アードベッグの種類を紹介します。種類ごとに味わいが異なるので、それぞれの特徴を理解し、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。※ここでは終売品も含めて紹介しています。
アードベッグの種類一覧
| 商品 | 種類 | アルコール 度数 | 容量 | 価格帯 | |
|---|---|---|---|---|---|
| | アードベッグ 10年 | シングルモルト | 46% | 700ml | 約5,000円 |
| | アードベッグ ウーガダール | シングルモルト | 54.2% | 700ml | 約8,000円 |
| | アードベッグ コリーヴレッカン | シングルモルト | 57.1% | 700ml | 約9,000円 |
| | アードベッグ アン・オー | シングルモルト | 46.6% | 700ml | 約6,000円 |
| | アードベッグ ドラム | シングルモルト | 46% | 700ml | 12,000円~ |
| | アードベッグ ブラック | シングルモルト | 46% | 700ml | 40,000円~ |
アードベッグ 10年

| 原産国 | イギリス |
|---|---|
| エリア | アイラ |
| 種類 | シングルモルト |
| アルコール度数 | 46% |
| 容量 | 700ml |
| 価格帯 | 約5,000円 |
「アードベッグ 10年」が発売開始されたのは2000年。アードベッグのスタンダードボトルの位置づけで、初めてアードベッグを味わう人は、まず最初にアードベッグ10年を体験してみましょう。
強いスモーキーさを持ちながらも、デリケートで繊細な甘さが調和したアイラモルトとして、高く評価されています。
アードベッグ ウーガダール

| 原産国 | イギリス |
|---|---|
| エリア | アイラ |
| 種類 | シングルモルト |
| アルコール度数 | 54.2% |
| 容量 | 700ml |
| 価格帯 | 約8,000円 |
「アードベッグ ウーガダール」は、アードベッグの仕込み水の水源であるウーガダール湖から名づけられています。発売開始されたのは2003年です。
「アードベッグ ウーガダール」は、アメリカンオークのバーボン樽で熟成の原酒にオロロソ・シェリー樽で長期熟成した原酒をヴァッティングして、ボトリングしています。そのため、シェリー樽由来の独特の甘みが特徴です。
「アードベッグ ウーガダール」は、濃いゴールド色をしており、その名の通りピート層を通ってきたウーガダール湖のような色合いです。
2009年 ワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー 受賞
アードベッグ コリーヴレッカン

| 原産国 | イギリス |
|---|---|
| エリア | アイラ |
| 種類 | シングルモルト |
| アルコール度数 | 57.1% |
| 容量 | 700ml |
| 価格帯 | 約9,000円 |
「アードベッグ コリーヴレッカン」のラベルには渦潮のイラストが描かれています。コリーヴレッカンとは、アイラ島とジュラ島の間の海域を示す名称です。
世界で2番目、ヨーロッパで最大の渦潮が発生することで知られていて、ケルトの神話にも登場します。
「アードベッグ コリーヴレッカン」は、もともと2008年にアードベッグ・コミュニティの会員限定で販売されましたが、評判が高かったことからレギュラーボトルとして販売されることになった商品です。
フレンチオークの新樽で熟成した原酒を使用していることから、荒々しくスパイシーで、まさに荒々しい渦潮をイメージさせます。
2010年 World’s Best Single Malt Whisky 受賞
アードベッグ アン・オー

| 原産国 | イギリス |
|---|---|
| エリア | アイラ |
| 種類 | シングルモルト |
| アルコール度数 | 46.6% |
| 容量 | 700ml |
| 価格帯 | 約6,000円 |
「アードベッグ アン・オー」の「アン・オー(AN OA)」とは、アイラ島南西部のアードベッグ蒸留所があるオー岬、Mull of Oa(マル・オブ・オー)に由来しています。リリースされたのは2017年の新しい商品です。
ファーストフィルのバーボン樽、ペドロヒメネス・シェリー樽、新樽の3種類の樽で熟成させた原酒をヴァッティング、時間をかけてゆっくりと寝かせることで、まろやかさとスモーキーさが見事に溶け合っています。
名前に付けられたMull of Oa(マル・オブ・オー)は、長年荒波にさらされ削られたことで、丸みを帯びた地形になっています。大西洋の荒波と静かな入り江が出会う景色が、スモーキーさと甘さが複雑に調和する「アードベッグ アン・オー」のイメージに見事に重なります。
アードベッグ ドラム

| 原産国 | イギリス |
|---|---|
| エリア | アイラ |
| 種類 | シングルモルト |
| アルコール度数 | 46% |
| 容量 | 700ml |
| 価格帯 | 12,000円~ |
毎年5月から6月にかけて、アイラ島の蒸留所を訪れるアードベッグファンをはじめ世界中のファンと一緒にお祝いする日 ”アードベッグ・ディ”。
アードベッグ・ディでは、その年のテーマを表現した個性的なアードベッグが販売されます。2019年のテーマは、彩り豊かで陽気なカリブの「カーニバル」で「アードベッグ ドラム」は、カーニバルの陽気な音色を表現していています。
アメリカ大陸産のラム樽で追加熟成をしていることから、強烈なスモーキーさの中にパイナップルやリンゴ、完熟したバナナ、レーズンなどのフルーツの魅惑的な香りが口の中で踊ります。
アードベッグ ブラック

| 原産国 | イギリス |
|---|---|
| エリア | アイラ |
| 種類 | シングルモルト |
| アルコール度数 | 46% |
| 容量 | 700ml |
| 価格帯 | 40,000円~ |
「アードベッグ ブラック」は、2020年の「アードベッグ・ディ」に数量限定で発売された商品。アードベッグでは、初めてのニュージーランド産ピノ ノワール赤ワインの樽を使用して熟成させています。
人間の数より羊の方が多いなど、アイラ島と共通点が多いニュージーランドの黒いブドウと黒い羊をイメージしていて、アードベッグでは史上初じめて真っ黒なボトルに詰められています。
ワイン樽由来のベリー系の果実味が、アードベッグ特有のスモーキーな味わいに深みを加えています。
アードベッグおすすめの飲み方
アードベッグに限った話ではありませんが、ウイスキーは飲み方によって味わいが大きく変化します。
そのため、ここで紹介する飲み方を参考に、あなたにあった飲み方を探してみてください。
ストレート

アードベッグの深みのあるスモーキーな風味と、スイートな飲み心地を楽しむならストレートがオススメです。
ストレートで飲む時は、チェイサーを忘れないでください。一口ごとに口の中をリセットし、味をしっかりと感じられるようにしましょう。
ハイボール

クセの強さを和らげて飲みたい人にオススメなのはハイボールです。
アードベック特有のピート香を抑えら、炭酸によって爽やかな味わいを楽しめます。
- グラスいっぱいに氷を入れます。
- ウイスキーを適量注ぎます。
- マドラーでしっかり混ぜ、ウイスキーを冷やします。
- ソーダを氷にあてないよう注ぎます。(ウイスキー1:ソーダ3~4)
- マドラーをタテに1回混ぜます。
- 完成。
アードベッグについて

「アードベッグ」は、アードベッグ蒸留所で造られるスコッチウイスキーです。
アードベッグ蒸留所があるのは、スコットランドのインナー・ヘブリディーズ諸島南端にあるアイラ島。
人口3,400人ほどの島に9つの蒸留所があり「ウイスキーの聖地」と呼ばれています。
アイラモルトの中でも個性的なアードベッグ
ウイスキーの聖地「アイラ島」で造られるモルトウイスキーは、アイラモルトと呼ばれています。
アードベッグの他には、日本でも人気の高いラフロイグやボウモア、ラガヴーリンなどの銘柄があります。
アイラモルトは、ピートを多く使用するため、強いスモーキーな香りが特徴です。その香りは、正露丸など薬品に例えられることもあるほどで、ウイスキーファンの中でも好き嫌いがハッキリと分かれます。
そのなかでも特にピート香が強く個性的な味わいなのがアードベッグです。
アードベッグの歴史
アードベッグ蒸留所があるのは、アイラ島南部のアードベッグ岬。蒸留所の名前は、この岬にちなんでつけられました。
1798年からウイスキーの製造を行っていましたが、本格的に設立されたのは1815年です。
当時は、スコットランドのほとんどの蒸留所同様に、シングルモルトとしてではなく、ブレンデッドウイスキーを造るためのウイスキーとして製造していました。
1886年には、従業員60名を抱え年間30万ガロンのウイスキーを生産するまでに成長。しかし1980~1990年代、世界的にウイスキーの消費が減少した時期の影響もあり、1981年にウイスキーの生産が停止されました。
その後、1997年にグレンモーレンジー社が蒸留所を買収して生産を再開。現在はLVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの傘下になっています。
アードベッグ蒸留所は、200年の歴史の中で、何度も閉鎖の危機を迎え乗り越えてきました。今後、二度と蒸留所が閉鎖されるようなことが無いようにと、2000年にはアードベッグを愛する人たちによって「アードベッグコミッティー」が発足して、現在は世界でおよそ130ヵ国、約12万人の人が登録しています。
アードベッグの製法

アードベッグ蒸留所では、2基のポットスチルでウイスキーを生産しています。しかし、世界的なウイスキー需要の高まりに対応するために、生産力を最大で年間240万リットルと現在の倍にする拡張工事が、2018年から進められています。
新型コロナウイルス感染症の流行によって工事は中断されていますが、完成後にはより多くの人が、アードベッグの超個性的な味わいを楽しめるようになります。
アードベッグ蒸留所が、仕込みに使用するのは、蒸留所の上ある海抜600フィート(約183メートル)の丘陵地にある湖「ウーガダール湖」の水。ウーガダールとは暗くて神秘的な場所という意味で、この湖の水は、ピートの地層を通ってきたため黒っぽい色をしています。
発酵は、8槽のオレゴンパイン材で作られたウォッシュバック(発酵槽)で行われるため、酸味を帯びたフルーツ香がつきます。
アードベッグの製法で特徴となるのは、「ノンチルフィルタード製法」を採用していることです。一般的なウイスキーは、原酒に沈殿した澱(おり)や白濁を冷却ろ過して取り除きますが、これを「チルフィルタード」と呼びます。
つまり、ノンチルフィルタード製法とは、冷却ろ過を行わないため、原酒本来の香りが残されています。
アードベッグのロゴマークが示すもの
「アードベッグ」のラベルに描かれたロゴマークは、独特な「A」の文字が特徴的です。

これは、アイラ島にある紀元前8世紀に造られた「キルダルトンクロス(キルダルトン十字架)」に描かれているケルト式の組紐模様を参考にしたもの。
このキルダルトンクロスは、アードベッグ蒸留所の先に少し進んだところにある古い教会跡地にあります。
現存しているケルト文化を伝える文化遺産の中でも、特に保存状態が良いとされていて、アイラ島観光では外せない人気スポットとなっています。
まとめ
その強い個性から好き嫌いがハッキリと分かれるウイスキーですが、アードベッグを愛する人たちによって発足された「アードベッグコミッティー」には、約12万人が登録するなど世界中に熱烈なアードベッグファンがいます。
個性の強いアードベッグを一度飲んでみてください。今までと違ったウイスキーの味わいを楽しめます。

















2008年 ワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー 受賞