ラフロイグは、スモーキーな味わいのウイスキーが多いことで知られるアイラ島で造られ、「アイラモルトの王者」と呼ばれるスコッチウイスキーです。
強烈な味と香りが特徴で、その香りは薬草や薬品に例えられることが多く、日本では正露丸に似ているという人もいます。
ウイスキー愛好家の中でも、個性的なウイスキーを味わいたい人に人気で、チャールズ皇太子が愛飲しているウイスキーとしても有名です。
今回は、ラフロイグの種類とそれぞれの味わい、おすすめの飲み方を紹介します。また、歴史や製法などを解説します。
ラフロイグの種類
ラフロイグの種類を紹介します。種類ごとに味わいが異なるので、それぞれの特徴を理解し、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。
ラフロイグの種類一覧
商品 | 種類 | アルコール 度数 | 容量 | 価格帯 | |
---|---|---|---|---|---|
![]() | ラフロイグ 10年 | シングルモルト | 43% | 750ml | 約5,000円 |
![]() | ラフロイグ セレクト | シングルモルト | 40% | 700ml | 約4,000円 |
![]() | ラフロイグ 18年 | シングルモルト | 48% | 700ml | - |
![]() | ラフロイグ 25年 | シングルモルト | 45.1%~52% | 700ml | 70,000円~ |
![]() | ラフロイグ 30年 | シングルモルト | 53.5% | 700ml | 140,000円~ |
![]() | ラフロイグ クオーターカスク | シングルモルト | 48% | 700ml | 5,000円~ |
![]() | ラフロイグ ロア | シングルモルト | 48% | 700ml | 約10,000円 |
ラフロイグ 10年

原産国 | イギリス |
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産地 | アイラ |
種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 43% |
容量 | 750ml |
価格帯 | 約5,000円 |
「ラフロイグ10年」は、現在販売されている商品ラインナップの中で、もっともラフロイグの特徴が味わえるスコッチウイスキーです。
ピートの香りが効いた麦芽から生みだされるシングルモルトで、その個性的な味わいは世界中のウイスキー愛好家を魅了しつづけています。
バーボン樽に詰め10年以上熟成させたウイスキーは、爽快なピートと磯の香りで、フィニッシュは海藻を思わせるユニークで心地よい後味です。
ラフロイグ セレクト

原産国 | イギリス |
---|---|
産地 | アイラ |
種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約4,000円 |
「ラフロイグ セレクト」は、ペドロヒメネス・シェリー樽、ヨーロピアンオーク・シェリー樽、ファーストフィル・バーボン樽で熟成した原酒をヴァッティング。さらに、アメリカンオークの新樽で後熟させています。
そのためラフロイグの特徴である重厚なスモーキーな香りがありながらも、ココナッツやバナナを思わせるような味わいを感じます。
ラフロイグ 18年

原産国 | イギリス |
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産地 | アイラ |
種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 48% |
容量 | 700ml |
価格帯 | - |
「ラフロイグ18年」は、ファーストフィルのバーボン樽で、18年もの長期熟成させた原酒をバッティングしています。
熟成の深い味わいと豊かな香りをそのまま残すため、冷却ろ過を施していません。冷却ろ過を施していないので、生のままのモルト原酒を味わえるのです。
そのため、温度が低い場所に保管したり、ロックや水割りなど冷たい状態で楽しむ際には、濁りが出ることがあります。
ラフロイグ 25年

原産国 | イギリス |
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産地 | アイラ |
種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 45.1%~52% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 70,000円~ |
「ラフロイグ 25年」は、2007年からほぼ毎年リリースされています。しかしその年によってバッチが異なり、さまざまな味や香りを楽しめることからラフロイグファンの中でも人気となっています。
2019年にリリースされたものは、バーボン樽とオロロソシェリー樽で熟成させ、カスクストレングスでボトリング、アルコール度数は51.4%となっています。
ラフロイグ 30年

原産国 | イギリス |
---|---|
産地 | アイラ |
種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 53.5% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 140,000円~ |
「ラフロイグ 30年」は、バーボン樽で30年以上も長期熟成、カスクストレングスでボトリングしています。ラフロイグのラインナップの中では最高峰の位置づけで、希少価値が高く非常に入手困難です。
ラフロイグ独特の風味を持ちながらも柔らかな口当たりと味わい、長い残る余韻は、「アイラモルトの王」という名にふさわしい風格があります。
ラフロイグ クオーターカスク

原産国 | イギリス |
---|---|
産地 | アイラ |
種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 48% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 5,000円~ |
クォーターカスクとは、その名の通り通常の1/4の大きさの樽のことです。「ラフロイグ クォーターカスク」はバーボン樽で熟成させた原酒を、クォーターカスクに入れてさらに熟成させています。
そのため、ラフロイグの特徴である爽快なスモーキーな香りとほのかな甘い余韻に、クォーターカスクによる樽由来の強い香りと味わいが加わっています。2020年6月にサントリーより数量限定で発売されていますので、見かけたら是非入手してみてください。
ラフロイグ ロア

原産国 | イギリス |
---|---|
産地 | アイラ |
種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 48% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約10,000円 |
「ラフロイグ ロア」は、ラフロイグ蒸留所の所長ジョン・キャンベル氏が、創業以来受け継がれてきた技術や経験を次世代へ伝承(LORE)するという情熱を表現した特別なウイスキーで、2016年から毎年数量限定で発売されています。
ヨーロピアンオークの新樽で熟成させた後に、ファーストフィルバーボン樽に移し替えて、さらに熟成させた「ダブルマチュアード(二度熟成)」の原酒に、数種のモルト原酒をヴァッティングし、さらにバーボン樽で後熟させています。
ラフロイグおすすめの飲み方
ラフロイグと相性のよい飲み方や自分の好きな飲み方を見つけられると、より楽しむことができるでしょう。
では、ラフロイグのおすすめの飲み方を紹介します。
ストレート or ロック

ラフロイグ特有のスモーキーなピートの香り、バニラ様のなめらかな甘みを楽しむのであれば、ストレート、もしくはとロックがおすすめです。
正露丸のような香りと言われるほど、香りに特徴のあるラフロイグを楽しむには、ストレートかロックで飲んでみてはいかがでしょうか。
ストレート、またはロックで飲む時はチェイサーを用意しましょう。
ハイボール

すっきりとした爽快感を味わいたいときはハイボールがおすすめです。ラフロイグの香りを楽しみたい方は、かき混ぜる回数は少なくするとよいでしょう。
ラフロイグ特有の香りを感じつつも、すっきりとした口当たりで飲みやすいです。
- グラスいっぱいに氷を入れます。
- ウイスキーを適量注ぎます。
- マドラーでしっかり混ぜ、ウイスキーを冷やします。
- ソーダを氷にあてないよう注ぎます。(ウイスキー1:ソーダ3~4)
- マドラーをタテに1回混ぜます。
- 完成。
ラフロイグについて

「ラフロイグ」は、スコットランドの西岸沖に位置する「アイラ島」にあるラフロイグ蒸留所で造られるスコッチウイスキーです。
アイラ島の面積は619.6k㎡で、日本の淡路島よりやや大きい程度。その広さの中に8つの蒸留所とひとつの製麦工場がある世界にも珍しいウイスキーの島で、ウイスキーの聖地とも呼ばれることがあります。
ラフロイグの歴史
ラフロイグ蒸留所は、アイラ島の南部のポート・エレンという町にあります。「ラフロイグ」とはゲール語で、“広い入り江の美しい窪地”という意味であるとされていますが、定かではありません。
しかし、実際にラフロイグ蒸留所は、スコットランドにある蒸留所の中でも1、2を争うような風光明媚な場所に建てられています。
ラフロイグ蒸留所の創立は1815年、アレクサンダーとドナルド・ジョンストンの兄弟によって設立されました。以降、何度も経営者が変わり、2005年にはアメリカのフォーチュン・ブランズ(後のビーム)へ売却されます。
その後、2014年にサントリーホールディングスがビームを買収したことから、現在ラフロイグ蒸留所はサントリーの傘下にあります。
1994年には、その品質の高さと香味の豊かさがチャールズ皇太子に認められて、シングルモルトウイスキーとしては初めてのロイヤルワラント(王室御用達)に認定されています。
そのため、ラフロイグ蒸留所の建物の白い壁には、3本のダチョウの羽をあしらった「平和の楯」と呼ばれるプリンス・オブ・ウェールズの紋章が飾られています。
チャールズ皇太子は、自身でラフロイグ蒸留所にウイスキーを行くこともあり、多い年には1,000本も買われるそうです。また、ラフロイグ蒸留所が新製品を発売する際には、チャールズ皇太子に試飲していただくのが慣例となっています。
ラフロイグの製法
アイラ島で造られるスコッチウイスキーは、スモーキーなピート臭が強いことが特徴です。
ピートとは、植物やコケ、草や灌木などが堆積していって形成された泥炭のことです。
ラフロイグをつくる際に使われる仕込み水は、このピート層を浸透してきたもので、ラフロイグの味わいを特徴づけています。
原料となる大麦を麦芽にする工程の85%は、アイラ島にある製麦工場に委託していますが、残りの15%はフロアモルティングの製法で蒸留所にて行っています。
この昔ながらのフロアモルティングは、ピート成分が溶け込んだ水をたっぷりと含んだ大麦を床に広げて、職人が8時間おきにすき返して大麦の発芽を促します。
発芽したところでキルン(麦芽乾燥塔)の下にある乾燥室で乾燥させて発芽を止めます。この乾燥に必要な時間は30時間。この時、モルトに強いピート臭がつけられるのです。
さらに蒸留所や貯蔵庫が海に面して建てられていることから、原酒に海藻や潮のソルティーな香りや味わいが加えられます。
まとめ
チャールズ皇太子が愛飲して、シングルモルトウイスキーとしては初めてのロイヤルワラント(王室御用達)に認められたのが「ラフロイグ」です。
特徴であるスモーキーで海藻や潮の強い味わいと香りから、「アイラモルトの王」とさえ呼ばれています。
強烈な個性からウイスキー愛好家の中でも好き嫌いがはっきりと分かれる味わいですが、ぜひ1度は飲んでみてください。