2004年に創業した株式会社ベンチャーウイスキーが造る「イチローズモルト」。創業から20年弱ですが、国内外での高い評価と数々の受賞実績があります。
今回は、イチローズモルトの種類とそれぞれの味わい、おすすめの飲み方を紹介します。
イチローズモルトの種類
ここでは販売中のボトルに加え、終売となっているイチローズモルトを紹介していきます。
イチローズモルトの種類一覧
商品 | 種類 | アルコール 度数 | 容量 | 価格帯 | |
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イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル | ブレンデッド | 46% | 700ml | 約4,000円 | |
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ | ブレンデッド | 46% | 700ml | 約15,000円 | |
イチローズモルト ミズナラ・ウッド・リザーブ | ブレンデッド | 46% | 700ml | 約15,000円 | |
イチローズモルト ワインウッドリザーブ | ブレンデッド | 46% | 700ml | 約15,000円 | |
イチローズモルト 秩父ザ・ファースト | シングルモルト | 61.8% | 700ml | 150,000円~ | |
イチローズモルト カード ジョーカー モノクロ | シングルモルト | 57% | 700ml | 700,000円~ | |
イチローズモルト 秩父 オン・ザ・ウェイ 2015 | シングルモルト | 55.5% | 700ml | 約100,000円 | |
イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド 2018 | シングルモルト | 55.5% | 700ml | 約60,000円 | |
イチローズモルト 秩父 ポートパイプ | シングルモルト | 54.5% | 700ml | 100,000円~ |
イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル
原産国 | 日本 |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約4,000円 |
「イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル」は、イチローズモルトの中でも定番のボトルです。秩父蒸留所を含め9つの蒸留所のモルト原酒と2つの蒸留所のグレーンウイスキーをブレンドしています。
熟成年数の若さから、ややアルコール感はあります。しかし、若さの割に口当たりはまろやかで、さっぱりとした味わいが特徴的です。また、ハチミツの甘みや柑橘系の香りを感じられます。
どの飲み方でもおいしくいただけるので、ぜひ試してみてください。
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
原産国 | 日本 |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約15,000円 |
「イチローズモルト ダブルディスティラリーズ」は、羽生蒸留所と秩父蒸留所のモルト原酒をヴァッティングしたボトルです。
羽生蒸留所が使用するシェリー樽の甘みと秩父蒸留所が使用するミズナラ樽の香りが絶妙にマッチし、個性豊かな味わいを楽しむことができます。また、甘さの中にある、ジンジャーや黒胡椒のようなスパイシーさも魅力の1つといえるでしょう。
羽生蒸留所は2000年に閉鎖しているため、なかなか手に入れづらいかもしれませんが、1度は飲んでいただきたいウイスキーです。
イチローズモルト ミズナラ・ウッド・リザーブ
原産国 | 日本 |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約15,000円 |
「イチローズモルト ミズナラ・ウッド・リザーブ」は、イチローズモルトの「リーフシリーズ」の1つで、ラベルにMWR(ミズナラ・ウッド・リザーブの頭文字)と記載されたボトルです。
羽生蒸留所のモルト原酒をメインにし、複数の種類のモルト原酒をヴァッティングしています。この際、ピート香の強いモルト原酒を厳選してヴァッティングしているため、スモーク感が強さを存分に感じることができるでしょう。
また、カラメルやカカオ、ドライフルーツのような甘みが特徴的で、それらの余韻を長く楽しむことができるという魅力があります。
バーなどでラベルのMWRという表記を見かけたら、ぜひ飲んでみてください。
イチローズモルト ワインウッドリザーブ
原産国 | 日本 |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約15,000円 |
「イチローズモルト ワインウッドリザーブ」は、イチローズモルトの「リーフシリーズ」の1つで、後熟に赤ワイン樽を用いて作られたボトルです
秩父蒸留所のモルト原酒をメインに、複数のモルト原酒をブレンドしています。また、スモーキーさは少なく、オレンジやレモンのような柑橘系の爽やかさとカカオの濃厚さを存分に味わうことができます。
赤ワイン特有の香りやまろやかさも感じられ、華やかな時間を過ごすことができるでしょう。
イチローズモルト 秩父ザ・ファースト
原産国 | 日本 |
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種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 61.8% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 150,000円~ |
「イチローズモルト 秩父ザ・ファースト」は、2008年に秩父蒸留所で樽詰めされたバーボン樽熟成のモルト原酒から、31樽を厳選してヴァッティングされたボトルです。
3年の熟成とは思えないほどに上品で深い熟成感。さらに、オレンジやレモンの柑橘系の爽やかさとミルクキャラメルのような甘みを感じることができます。
また、高いアルコール度数(61.8%)と相まって、かなり骨太な1本となっています。初心者というよりは上級者向けのボトルです。
イチローズモルト カード ジョーカー モノクロ
原産国 | 日本 |
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種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 57% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 700,000円~ |
「イチローズモルト カード ジョーカー モノクロ」は、熟成年数が33年となっており、イチローズモルトの中でも、かなり長熟のボトルです。
東亜酒造と羽生蒸留所のモルト原酒を使用して作られています。
ドライフルーツや黒糖の甘みとカカオの深いコク、そして、オレンジピールのような余韻を存分に感じられます。
このボトルは、希少性が非常に高いため、値段も100万円を超えることはざらです。
人生で1回飲めれば、万々歳といったところでしょうか。
イチローズモルト 秩父 オン・ザ・ウェイ 2015
原産国 | 日本 |
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種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 55.5% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約100,000円 |
「イチローズモルト 秩父 オン・ザ・ウェイ 2015」は、2009年から2015年の間に、秩父蒸留所で熟成された樽の中から、数十樽を厳選してヴァッティングされたボトルです。
「これこそがイチローズモルト、秩父蒸留所だ」といった、個性溢れるウイスキーとなっています。
レモンピールやミントの爽やかさとアルコールの若さ、ハチミツのような甘みを口いっぱいに感じられるでしょう。また、スパイシーでスッキリとした余韻も魅力的です。
イチローズモルトの本質を知りたいという方にオススメの1本となっています。
イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド 2018
原産国 | 日本 |
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種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 55.5% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約60,000円 |
「イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド 2018」は、秩父蒸留所でつくられたピーテッドタイプのボトルです。
麦芽を乾燥させる時にピートを使用しているため、スモーキーでクセの強い原酒となっています。また、スモーキーな香りの中に、バナナのようなフルーティーさがあり、絶妙にマッチしています。
ウイスキーならではの複雑な味わいを楽しみたいという方には、もってこいのボトルです。
イチローズモルト 秩父 ポートパイプ
原産国 | 日本 |
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種類 | シングルモルト |
アルコール度数 | 54.5% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 100,000円~ |
「イチローズモルト 秩父 ポートパイプ」は、4200本限定でボトリングされた希少性の高いボトルです。バーボン樽で熟成させたモルト原酒をポートワイン樽で後熟させることで深い味わいを実現しています。
シナモンやホットケーキといった甘みとオレンジピールのような爽やかさを存分に味わえます。
希少性が高く、手に入れづらいですが、見つけた際には飲んでみてください。
イチローズモルトおすすめの飲み方
イチローズモルトに限った話ではありませんが、ウイスキーは飲み方によって味わいが大きく変化します。
そのため、ここで紹介する飲み方を参考に、あなたにあった飲み方を探してみてください。
ストレート
ストレートは、イチローズモルトの中でも、希少性の高いボトルを飲む時にオススメの飲み方です。
イチローズモルト本来の味わいや香りを感じられ、ボトルごとの個性も十分に楽しめます。
ストレートで飲む時は、チェイサーを忘れないでください。一口ごとに口の中をリセットし、味をしっかりと感じられるようにしましょう。
ロック
ロックは、イチローズモルトの味の変化を存分に楽しみたいという方にオススメの飲み方です。
氷を入れて冷やすことでイチローズモルトならではのアルコール感が抑えられ、飲みやすくなります。また、一口ごとに違った味わいを楽しめます。
ロックで飲む時には、なるべく大きくて溶けづらい氷を用意しておいてください。また、ストレートと同様にチェイサーを用意しておきましょう。
- グラスに大きめの氷を入れます。
- ウイスキーを適量注ぎます。
- マドラーで軽く混ぜます。
- 完成。
ハイボール
ハイボールは、イチローズモルトを爽やかに味わいたいという方にオススメの飲み方です。
イチローズモルトは全体的に熟成年数の若いボトルが多く、ストレートで飲むとアルコールの刺激を強く感じやすい傾向にあります。
しかし、ハイボールにして飲むとアルコールの刺激が爽快感に変わります。ハイボールにしても、イチローズモルトの香りは薄れることはありません。
- グラスいっぱいに氷を入れます。
- ウイスキーを適量注ぎます。
- マドラーでしっかり混ぜ、ウイスキーを冷やします。
- ソーダを氷にあてないよう注ぎます。(ウイスキー1:ソーダ3~4)
- マドラーをタテに1回混ぜます。
- 完成。
イチローズモルトについて
イチローズモルトは、埼玉県秩父市にある「ベンチャーウイスキー」という会社がつくるジャパニーズウイスキー。
埼玉県秩父市の気候は、アメリカのケンタッキー州と似ており、季節ごとの寒暖差が激しいです。この気候が熟成によい影響をもたらし、味のととのったウイスキーを造り出します。
ここでは、そんなイチローズモルトの歴史や特徴、製法について解説していきます。
イチローズモルトの歴史
「イチローズモルト」という名前は、創業者である「肥土伊知郎(あくといちろう)」氏の下の名前を取ってつけられています。
肥土氏の実家は、1625年(寛永2年)から続く老舗の酒造を経営していました。しかし、肥土氏の父親の代で経営難に陥ってしまいます。
経営難を知った肥土氏は、家業の再建を決意。勤めていたサントリーを辞め、実家に戻りました。実家で家業をはじめると、自社のウイスキー原酒があることに気がつきます。
社内では、自社のウイスキー原酒はクセが強く、売りにくいと言われていました。しかし、肥土氏は、その自社ウイスキーに目をつけます。
社外の評価を確かめるべく、夜な夜な首都圏のバーを渡り歩き、バーテンダーにウイスキー名を伏せて、試飲してもらうという活動を開始しました。その結果、自社ウイスキーは高評価を受け、次々にベテランのバーテンダーを紹介してもらえたのです。
しかし経営難は変わらず、2000年には民事再生法を申請しました。
売却先の酒造メーカーからは、ウイスキー造りの撤退と設備の撤去。そして、20年ほど作り続けた400樽ものウイスキー原酒を廃棄しろ、と告げられてしまいます。
ここで肥土氏は、400樽のウイスキー原酒を預かってくれる企業探しに奔走します。まだ、ブランディングもされていないウイスキー原酒は、売りにくいことから、預かり先はなかなか見つかりませんでした。
※肥土氏が過去に勤めていたサントリーにも断られたそうです。
このような苦労のかかる活動をした結果、なんとか福島県の「笹の川酒造」に預けられることが決定しました。そして、「笹の川酒造」で瓶に詰めたウイスキー原酒をもち、バー巡りを再開したのです。
活動を続けるにつれ、たくさんの協力者を得ることができ、肥土氏は自分の蒸留所を作る、という決断をします。
2004年9月にウイスキー販売会社「ベンチャーウイスキー」を立ち上げ、その3年後の2007年11月に秩父蒸留所が完成しました。翌2008年2月には、国税庁から酒造免許が交付され、蒸留を無事に開始できたのです。
これらを見てもわかるように、イチローズモルトは肥土氏の強い愛情とコツコツと積み上げた努力によって生み出されました。そして、現在に至るまでコアなファンを増やし続け、現在の地位を確立したのです。
イチローズモルトの特徴
前評判とは違い、さっぱりとした味わいのイチローズモルトは、世界中から注目を集めているジャパニーズウイスキーの1つです。
そんなイチローズモルトは数々の賞を受賞しています。最初に大きな注目を浴びたのは、「ワールド・ウイスキー・アワード」という世界最高ウイスキーを決める品評会です。ここでカテゴリー別日本一を4度連続で受賞するという輝かしい実績を得ました。
2017年には、「シングルカスク・シングルモルト・ウイスキー」部門で、世界最高賞を受賞しています。
このような数々の実績により、イチローズモルトは世界中から知られるようになったのです。
イチローズモルトの製法
イチローズモルトの製法は、こだわりが強く、細部に至るまで考え抜かれています。こだわりを大きく分けると、発酵槽と樽の2つです。
発酵槽へのこだわり
近年は、管理の手間を削減するためにステンレス製の発酵槽を使われることが多くなっています。しかしイチローズモルトは、手間とコストのかかるミズナラの木槽を使用して発酵しています。ミズナラの木槽を使用する理由は、原酒に良い風味を与えられるからです。
発酵が完了したら、蒸留をおこないます。そこで使われるポットスチルにもこだわりがあり、スコットランド・フォーサイス社製のものを輸入しているようです。
樽へのこだわり
また、樽にも相当なこだわりを持っています。なんと、蒸留所の中に樽を製造する場所があるのです。
これはすごいことで、本場のスコットランドでも大手の蒸留所でしかおこなわれていません。イチローズモルトの蒸留所は、小さいですから、そのすごさがよくわかると思います。
このようにイチローズモルトは、製法にこだわりをもち、味わいや風味を生かすことで、昔から現在に至るまで、生き残ってきたのです。
まとめ
イチローズモルトは、小さな蒸留所でコツコツと改善を重ね、少しずつ実績を重ねていきました。そして、今では世界中に知られるジャパニーズウイスキーとなっています。
創業者の肥土氏の努力や製法へのこだわりを思い出しながら、イチローズモルトを飲んでみてください。