見た目にはよく似ているウイスキーとブランデー。その違いをご存知でしょうか?
どちらも美しい琥珀色をしていて、アルコール度数が高い蒸溜酒であるという点が共通していますが、味わいと香りは全く異なります。
今回は、ウイスキーとブランデーの違いと、それぞれの楽しみ方について紹介します。
ウイスキーとブランデーは何が違うの?
ウイスキーとブランデーの違いを見る前に、それぞれの定義を確認してみましょう。
ウイスキーの定義
ウイスキーの細かな定義は、生産される国によって異なりますが、一般的には以下の3つを満たしているものをいいます。
- 原料は穀類である
- 蒸溜する
- 木製の樽で熟成させる
原料は穀類
ウイスキーは、大麦や小麦、ライ麦、とうもろこしなどの穀類が原料として使われています。これらの原料の違いによって、味わいが異なるウイスキーが生まれます。
とくによく使われている原料が、大麦を発芽させたモルト(大麦麦芽)で、糖化(大麦のでんぷんをアルコール生成するのに必要な糖へと変える)に必要な酵素を持っています。
モルトはビールの主原料としても使われていますが、ウイスキーとビールの最も大きな違いは、ウイスキーが蒸留酒であるのに対して、ビールは醸造酒である点です。
蒸溜すること
ウイスキーは、モルトを糖化した液体(麦汁)を発酵させて、アルコール度数が7~9%の発酵液(もろみ)を作ります。
ここまでの工程は、ビールとほぼ同じですが、ウイスキーの製造では、この後にアルコール度数を高めるために蒸溜という作業が行われます。
木製の樽で熟成させる
ウイスキー造りで最も重要な工程が熟成です。
熟成は木製の樽に詰められて行われますが、樽の大きさや材質、樽を貯蔵する場所の環境、貯蔵期間などの違いが味や香りに影響ます。
この熟成によって、ウイスキーは長い年月をかけて特有の琥珀色へと変化します。
ブランデーの定義
ブランデーは、果実酒を蒸溜して作ったお酒です。本来は、ブドウを発酵させたワインを蒸溜したものをブランデーと呼んでいました。
しかし現在では、穀類を原料とするウイスキーと分類するために、リンゴや洋ナシ、さくらんぼ、プラム、ベリー類などの果実を使ったものも広い意味でブランデーと呼んでいます。
ブドウ以外が原料のものとしては、リンゴから作った「カルヴァドス」や、サクランボを原料にしたキルシュワッサーなどが有名です。
また、ワインを造るために果汁を搾った後の搾りかすを、再発酵させて蒸溜したお酒が「かす取りブランデー」で、フランスでは「マール(オー・ド・ヴィー・ド・マール)」、イタリアでは「グラッパ」と呼ばれています。
ウイスキーとブランデーの違いは原料
ウイスキーとブランデーの定義を紹介しましたが、一番大きな違いは原料です。
ウイスキーは穀類を原料とした蒸溜酒で、ブランデーは果実を原料とした果実酒を蒸溜して造られます。
果実にはもともと糖分が含まれているため、ウイスキーでは必要な糖化が、ブランデーの製造工程ではないことも違いのひとつです。
ウイスキーとブランデーの楽しみ方の違い
ウイスキーとブランデーでは、その味わいにも香りにも違いがありますが、それぞれどのような飲み方がおすすめなのでしょうか。
一般的には、ブランデーは香りを楽しむお酒で、ウイスキーは味わい自体を楽しむお酒と言われています。
ウイスキーのおすすめの味わい方
味わい自体を楽しむウイスキーは、ロックや水割り、ハイボールなどで飲むのがおすすめです。
ストレートで飲む時には、ミネラルウォーターやソーダ水などのチェーサーを用意して、一口ウイスキーを飲むごとに、チェーサーで口の中をリフレッシュさせると、ウイスキーの味わいをより楽しめます。
世界五大ウイスキーと言われる、スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、ジャパニーズウイスキーと産地によって個性が違うので、飲み比べてそれぞれの味わいや香りを楽しむのもおすすめです。
ブランデーのおすすめの味わい方
ブランデーは、果実由来のほのかな甘みと芳醇な香りが特徴です。このためストレートで、香りを楽しみながら飲むのが一般的です。
ひと昔前までは、大きく丸みをおびたシルエットをしたクラシカルスタイルのブランデーグラスに注いで飲まれていましたが、現在では細身のブランデーグラスが主流となっています。
ブランデーは、室温のままの状態で注いで、香りを楽しみながら飲みましょう。
おわりに
見た目がよく似たウイスキーとブランデーですが、味わいや香りにはそれぞれ特徴があり
ブランデー:香りを楽しむお酒
ざっくり言えばこのように理解しておくとよいでしょう。
ウイスキーに比べると馴染みが薄いブランデーですが、フルーティーで芳醇な香りを楽しみながら、ブランデーを楽しんでみてはいかがでしょうか。