ウイスキーの種類であるスコッチとバーボン。どちらも人気のウイスキーですが、どのような違いがあるのでしょうか?
今回は、スコッチとバーボンの産地や原料、製法の違いなどについて詳しく解説します。
スコッチとバーボンの定義とは?
ウイスキー通でも、スコッチとバーボンの違いについて意外と知らないのではないでしょうか。まずは、スコッチとバーボンのそれぞれの定義を確認してみましょう。
スコッチの定義
スコッチとは、イギリス北部のスコットランド地方で造られるウイスキーです。
イギリスの法律「スコッチウイスキー法」で
「スコットランド国内の蒸溜所で、モルト(大麦麦芽)やその他穀類を原料として、酵母により発酵させ、アルコール分94.8度未満で蒸溜し、700リットル以下のオーク樽に詰めて、スコットランド国内の熟成庫で最低3年以上熟成させ、アルコール度数40℃以上で瓶詰する」
と定義されています。
バーボンの定義
バーボンとは、アメリカ合衆国のケンタッキー州バーボン郡が発祥のウイスキーです。
連邦アルコール法で
「原料は穀物中にトウモロコシを51%以上含んで、アルコール度数80%以下で蒸溜し、さらに内面を焦がしたオークの新樽で、アルコール度数62.5%以下で熟成したもの」
と定義されています。
スコッチとバーボンの違い
スコッチとバーボンの定義を紹介しましたが、具体的に違う点について解説します。
産地の違い
スコッチ
先述した定義の通り、スコッチの産地はイギリス北部のスコットランド地方です。
スコッチウイスキー法で、スコットランド内の蒸溜所で蒸溜され、スコットランド内にある熟成庫で熟成させることが決められています。
そのため、スコットランド以外で造られたものはスコッチウイスキーと名乗ることができません。
バーボン
一方、バーボンも連邦アルコール法で定義が定められています。
バーボンというとケンタッキー州のお酒というイメージが強いですが、実際にはケンタッキー州以外で造られたバーボンもあります。
法律では、アメリカ合衆国で製造されたものとされているので、ケンタッキー州以外のものもバーボンと名乗ることができるのです。
原料の違い
スコッチ
スコッチには、モルト(大麦麦芽)を原料とした「モルトウイスキー」と、モルトとそれ以外の穀類を原料とした「グレーンウイスキー」があります。
モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたものを「ブレンデッドウイスキー」と呼びます。
バーボン
バーボンは法律で、原料としてトウモロコシを51%以上使うことが定められています。残りは、大麦や小麦、ライ麦などの穀物が原料です。
ウイスキー | 原料 | |
---|---|---|
バーボンウイスキー | トウモロコシ51%以上 | |
スコッチウイスキー | シングルモルト | 大麦麦芽 |
シングルグレーン | トウモロコシ、ライ麦など大麦以外 |
製法の違い
スコッチ
スコッチは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーでは蒸留の方法が違います。
モルトウイスキーは、モルト(大麦麦芽)の風味を残しながらアルコール度数を高くすることができる「単式蒸溜法」を2回行います。
一方グレーンウイスキーは、不純物を除去して効率よく蒸溜できる「連続式蒸溜法」で造られるのです。
蒸溜することでできた蒸溜酒は、700リットル以下の樽に貯蔵され3年以上熟成させます。この時に使用する樽は、バーボンなどを造ったあとの古い樽を再利用です。
バーボン
バーボンは、「連続式蒸溜法」によって蒸溜されます。
蒸溜されたお酒は、アルコール度数を62.5%以下に調整して、樽詰めして2年以上熟成させます。この時には、ホワイトオークの樽の内側を焦がしたものが使われます。
ウイスキーの綴り
ウイスキーの英語での綴りには、「WHISKY」と「WHISKEY」の2種類があります。
と表記されます。
ウイスキーの発祥には、スコットランドとアイルランドの2つの説があり、どちらが発祥の地かで古くから争っています。
また綴りに関しても諸説ありますが、スコッチウイスキーとアイリッシュウイスキーを区別するために、アイリッシュウイスキーにはEを加えて「WHISKEY」としたとも言われています。
アメリカでウイスキーの蒸溜所を作った人たちには、アイルランド出身者が多かったことから、バーボンはアイリッシュウイスキーに習って「WHISKEY」と表記される製品が多くなっています。
おわりに
今回は、ウイスキーの中でも人気のスコッチとバーボンの違いについて解説しました。
産地や原料、製法、そしてウイスキーの綴りにも違いがありますが、もちろん味わいや香りも違います。
ぜひ、スコッチとバーボンを飲み比べして、その違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。
バーボン:WHISKEY