アイラモルトをあなたはご存知ですか?
幅広く楽しまれているウイスキーではないので、知らなかったという方も多いと思います。
しかし、一段と際立つ存在感を放つアイラモルトを抜きにして、ウイスキーを語ることはできません。
そこでこの記事では、アイラモルトの特徴や代表的な銘柄を紹介しています。
ウイスキーマニアに強烈な支持を受けるアイラモルト。
その魅力を知るために、ぜひ最後まで読んで頂ければと思います。
アイラモルトとは?
アイラモルトとは、スコットランドの西側に位置するアイラ島でつくられるウイスキーのことです。
非常に個性的な味わいや風味を持つことから、コアなファンから熱烈な支持を受けているウイスキーになります。
また多くのブレンデッドウイスキーに使用され、名だたるブレンデッドウイスキーでアイラモルトが入っていないウイスキーはない、と言われるほどです。
アイラ島とは?
アイラ島は、スコットランドの西岸に連なるヘブリディーズ諸島の最南端にあり、その面積は約620㎢ ほどで、日本の淡路島よりも少し大きい島になります。
人口わずか3,000人ほどの小島で、ウイスキーの製造業はアイラ島の重要な産業として位置づけられています。
アイラ島は、
- 原料である大麦の生産に適した温暖な気候
- 島の1/4が良質な水を作るピート層に覆われている
といったウイスキーづくりに適している環境です。
スコットランドでいちばん最初にウイスキーづくりがはじまった場所と言われています。
アイラモルトの特徴はピート香
アイラ島はピートが多く採れるため、他の地方よりも多くのピートを大麦の乾燥に使用しています。
ピートとは
野草や水生植物などが枯れて堆積し、長い年月をかけて炭化した泥炭のこと。
そのためアイラモルトは、スモーキーな煙たい香りと表現されることが多いです。
またアイラ島にあるすべての蒸留所は、海沿いに建っているためか、潮の香り、ヨード臭のある風味も特徴といわれています。
この味わいや風味は、非常に個性が強く、ウイスキー初心者の方などを中心に、受け入れられないことが多くあります。しかしその一方で、熱烈なコアファンも多く存在し、好き嫌いがはっきりと分かれるウイスキーです。
アイラモルトの代表銘柄
ここからは、アイラモルトの代表的な銘柄を紹介していきます。
アイラモルトとひとことで言っても、銘柄によってさまざまな特徴を持つので、好みにあっものを見つけて頂ければと思います。
ボウモア

ボウモアは1779年、地元の商人であるデイビット・シンプソンが創業した、アイラ島の蒸留所の中で最も古い、ボウモア蒸留所で造られるアイラモルトです。
名前になっている「ボウモア」とは、「大きな岩礁」という意味のゲール語の言葉です。
ボウモア蒸留所は、1994年まではモリソンボウモア社が所有していましたが、その年の7月にサントリー社が買収し、現在まで所有しています。
ボウモアの代表的な銘柄は、「ボウモア12年」です。
ボウモア12年の味わいや風味は、アイラモルトの特徴的なドライなスモーキー感と、やわらかなフルーティーさが見事に調和したものになっています。
飲みやすさも残しつつ、個性的なアイラ島の潮の香りを感じることができる銘柄です。
ブルックラディ

ブルックラディは、1881年に創業された蒸留所です。ブルックラディはゲール語で「海辺の丘の斜面」という意味です。
これまでに、買収直後に閉鎖されるという困難な状況を経験しています。しかし、ボウモア蒸留所にいたジム・マッキューワンとマーレイマクダビッド社の手により、2001年の春に再度開業することができました。
ブルックラディは、アイラモルトの中では、ピートが少なく独特のクセをあまり感じないため、比較的飲みやすいという評価を受けています。
ラガヴーリン

ラガヴーリンは、1816年に創業された蒸留所です。現在は世界的な巨大蒸留酒メーカーであるディアジオ社が所有しています。
かつて、ホワイトホースを創業したピーター・マッキーが修行したことで有名ですが、今でもなおホワイトホースの原酒として使用されています。
ラヴガーリンの味わいや風味の特徴は、アイラモルトの中でも特段強いピート臭やスモーキーさ、また重厚なコクときめ細やかな舌触りになります。 そのため、アイラモルトの中で最もパワフルなモルトウイスキーと言われています。
カリラ

カリラは、1846年に建てられたポートアスケイグ港の北にある蒸留所です。
これまでは、ジョニーウォーカーのブレンド用であったため入手困難でしたが、2002年からは一般にもリリースされるようになりました。
カリラの味わいとしては、軽さを残しつつもスパイシーさもしっかりと持ち合わせており、他に劣らない強い個性があります。
ラフロイグ

ラフロイグは、最も高い知名度を誇るアイラモルトであるとされています。
その歴史は非常に特徴的で、蒸留所は1815年にジョンストン兄弟によって建設。その後1950年代から1970年代までは、スコッチウイスキーの歴史上初の女性所長である、ベッシー・ウィリアムソンが務めていました。
「アイラモルトの王」と称されるラフロイグは、アイラモルトらしさを前面に押し出した、海藻のような風味や香りが特徴とされます。
その特徴を作り出すことができるのは、海藻が混入している湿原から切り出したピートを使用しているのためです。
ラフロイグは、その知名度だけではなく、高い評価も同時に受けており、あのチャールズ皇太子も愛飲していることで有名です。
また、シングルモルトでは唯一、プリンス・オブ・ウェールズ御用達の勅許状を賜るという快挙も達成しています。
まとめ
アイラモルトについての基本知識や代表的な銘柄を含めて解説しました。
アイラモルトは、その生産地であるアイラ島の地理的な特徴から、非常に独特なピートの強い味わいや風味を持っています。そのため、好き嫌いが分かれやすく、人によっては全く受け付けられないでしょう。
しかし一度ハマってしまうと、そこから抜け出せないほど、一部の人を惹きつけるだけの魅力があります。
ぜひ一度、あなたもアイラモルトの独特な魅力を味わってみてはいかがでしょうか?