カティサークは、「1Q84」や「ねじまき鳥クロニクル」など、村上春樹の小説に度々登場するスコッチウイスキーです。
1923年の発売以来、ライトでスムーズな味わいで世界中で人気のあるカティサークは、日本でも多くの人に親しまれています。
今回は、カティサークの種類とそれぞれの味わい、おすすめの飲み方を紹介します。また、歴史や製法などを解説します。
カティサークの種類
カティサークの種類を紹介します。種類ごとに味わいが異なるので、それぞれの特徴を理解し、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。※ここでは終売品も含めて紹介しています。
カティサークの種類一覧
商品 | 種類 | アルコール 度数 | 容量 | 価格帯 | |
---|---|---|---|---|---|
![]() | カティサーク | ブレンデッド | 40% | 700ml | 約1,500円 |
![]() | カティサーク プロヒビジョン | ブレンデッド | 50% | 700ml | 約3,000円 |
![]() | カティサーク ストーム | ブレンデッド | 40% | 700ml | 約2,000円 |
![]() | カティサーク モルト | ブレンデッド | 40% | 700ml | 約4,000円 |
![]() | カティサーク 12年 デラックス | ブレンデッド | 40% | 700ml | - |
![]() | カティサーク 12年 エメラルド | ブレンデッド | 43% | 750ml | - |
![]() | カティサーク 18年 デラックス | ブレンデッド | 43% | 700ml | - |
![]() | カティサーク 33年 | ブレンデッド | 41.7% | 700ml | 100,000円~ |
カティサーク

原産国 | イギリス |
---|---|
種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約1,500円 |
「カティサーク」のベーシックボトルで、1923年の発売当時から変わらないライトでスムーズな軽い口当たりで飲みやすさが特徴のブレンデッドウイスキーです。
ハーブやバニラ、ほのかにミルクチョコレートを感じさせるような香りで、フルーティですっきりとした余韻が楽しめます。
とても軽い飲み口なので、ウイスキー初心者の方にもおすすめです。
カティサーク プロヒビジョン

原産国 | イギリス |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 50% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約3,000円 |
「カティサーク プロヒビション」は、禁酒法の廃止から80年目を記念して発売されたスコッチウイスキーで、禁酒法当時のように黒のボトルとコルク栓が使用されています。
プロヒビションとは禁酒法を意味しています。
アメリカンオークの樽を使用してノンチルフィルタリングでボトリング。アルコール度数は50%で、力強い味わいが特徴です。
カティサーク ストーム

原産国 | イギリス |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約2,000円 |
「カティサーク ストーム」が発売されたのは2013年。
カティサークオリジナルに比べて、長期熟成のマッカランやハイランドパークなどの高級シングルモルトを多くブレンド、熟成年数が長いことから、熟した甘い桃やクリームのような味わいとリッチな香りが特徴です。
カティサーク モルト

原産国 | イギリス |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 約4,000円 |
「カティサーク モルト」は、キーモルトにグレンロセスを使用し、他にマッカランやハイランドパークをなどクオリティーの高いモルトだけをブレンド。
グレーンウイスキーを使用しないブレンデッドモルトウイスキーです。
深みのあるグリーンのラベルとボトルが特徴で、シトラス、バニラ、スパイシー、フルーティーといった個性豊かな4つのフレーバーをバランス良く感じられます。
カティサーク 12年 デラックス

原産国 | イギリス |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
価格帯 | - |
「カティサーク 12年 デラックス」は、12年熟成のグレンロセスやマッカランを主に使用していて、まろやかで上質な味わいが特徴です。
カティサークの特徴であるライトな琥珀色とエレガントな味わいに、さらに深みが加えられています。
カティサーク 12年 エメラルド

原産国 | イギリス |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 43% |
容量 | 750ml |
価格帯 | - |
「カティサーク 12年 エメラルド」は、漫画「レモンハート」の11巻にも登場するヴィンテージスコッチウイスキー。
ローランドモルトをベースにして、グレングラッソーやグレンゴインなど柔かいハイランドモルトをブレンド。
その後、樽で熟成させてた後にグレーンウイスキーを加え、さらに樽熟成させるダブルマリッジ製法で造られています。
カティサーク 18年 デラックス

原産国 | イギリス |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 43% |
容量 | 700ml |
価格帯 | - |
「カティサーク 18年 デラックス」は、18年以上熟成させた高級モルトを、贅沢にブレンドしたプレミアムウイスキー。
オーク樽由来のバニラのような甘い香りとスモーキーで芳醇な香りと、甘さの中にもスパイシーを感じさせる濃厚な味わいが特徴です。
カティサーク 33年

原産国 | イギリス |
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種類 | ブレンデッド |
アルコール度数 | 41.7% |
容量 | 700ml |
価格帯 | 100,000円~ |
「カティサーク 33年」は、2017年にWEB限定で発売されました。
マッカランやハイランドパークなど、30年以上も熟成させての高級モルト原酒を中心にブレンドしたカティサーク最上級のウィスキーです。
カティサークが発売された1920年代当時を象徴するような、アールデコ様式のボトルに詰められています。
カティサークおすすめの飲み方
ここでは、カティサークのおすすめの飲み方を紹介します。
ロック

ロックは香りは落ち着きますが、冷やすことで口当たりをよくするとともに、アルコールの刺激を和らげてくれる飲み方です。
使用する氷は、小さなものだと溶けやすいので、溶けにくい大きめの氷を使います。できれば表面積の少ない丸い氷がおすすめです。
- グラスに大きめの氷を入れます。
- ウイスキーを適量注ぎます。
- マドラーで軽く混ぜます。
- 完成。
ハイボール

お酒があまり強くない方は、ソーダで割って飲むハイボールがおすすめ。炭酸の爽やかな口当たりで、すっきりしていて料理にも合わせやすい飲み方です。
少し風味を付けたい場合は、レモンピール(レモンの皮を遠くから絞り香りだけつける方法)がおすすめです。
- グラスいっぱいに氷を入れます。
- ウイスキーを適量注ぎます。
- マドラーでしっかり混ぜ、ウイスキーを冷やします。
- ソーダを氷にあてないよう注ぎます。(ウイスキー1:ソーダ3~4)
- マドラーをタテに1回混ぜます。
- 完成。
カティサークについて
カティサークはベリー・ブラザーズ&ラッド社(以後、BBR社)が販売するブレンデッドウイスキーです。
帆船のイラストが描かれた黄色いラベルが特徴的です。
ここでは、カティサークの歴史や名前の由来、製法について解説していきます。
カティサークの歴史
カティサークが発売されたのは1923年。
発売元のBBR社は、1698年にロンドンで創業した食料雑貨商で、英国王室御用達の由緒ある会社です。今でもロンドンのセント・ジェームズ3番地で、創業当時と変わらない姿で営業しています。
経営者の1人だったフランシス・ベリーが、禁酒法時代のアメリカ合衆国をターゲットとして、ライトな色合いに仕上げて発売したのがカティサークです。
このカティサークを、アメリカに密輸した人物として有名なのが、ウィリアム・フレデリック・ビル・マッコイ。
禁酒法時代に密輸によってアメリカに入ったスコッチウイスキーには、低品質のものが多かったと言われています。
その中で「マッコイが持ち込むスコッチウイスキーは本物の味がする」と言われ、ギャングたちから「リアル・マッコイ」と呼ばれていたそうです。
1933年には禁酒法が廃止され、カティサークはアメリカで人気のスコッチウイスキーとなり、日本でも多くのウイスキーファンに親しまれています。
2010年になるとBBR社は、カティサークのブランド権を、マッカランやハイランドパークなどを傘下に持つエドリントングループに売却。
その後、2018年になるとエドリントングループは、カティサークのブランドを手放し、フランスの大手酒類メーカー、ラ・マルティニケーズ・バーディネに売り渡しました。
現在、日本国内の流通はバカルディ・ジャパンが行なっています。
カティサークの名前の由来
カティサークという名前は、19世紀後半に活躍したイギリスの快速帆船「カティサーク号」からつけられました。カティサークはゲール語で「短い袖」という意味です。
当時、中国からイギリスに紅茶を輸送するため「ティークリッパー」と呼ばれる快速帆船がたくさん建造されました。
カティサーク号も、いかに早く紅茶をイギリスに届けるかを競っていたティークリッパーの1隻です。
しかし、1869年にはスエズ運河が開通したため、ティークリッパーによる紅茶の輸送は一気に衰退していきました。その後、紅茶輸送を引退したカティサーク号はポルトガルに売却されます。
月日は流れて1922年、イギリス人船長のウィルフレッド・ドウマンがカティサーク号を買い上げて再びイギリスに帰還させます。
当時、イギリスではあのカティサーク号が戻ってきたと話題となったそうです。その翌年にウイスキーを発売したBBR社は、話題にのってカティサークと名づけたということです。
カティサークの製法
カティサークはブレンデッドウイスキーのため、いくつかの蒸留所で造られたモルト原酒とグレーン原酒がブレンドされています。
なかでも5種類のシングルモルトが、代表的なキーモルトとして使われています。
グレンロセス
スペイサイドにあるグレンロセス蒸留所で造られるモルト原酒が、カティサークのキーモルトの中でも一番配合比率が高く使われています。
グレンロセス蒸留所は、ニッカウヰスキーの創設者で日本のウイスキーの父と言われる竹鶴政孝が修行した蒸留所として有名です。
マッカラン
マッカラン蒸留所は、グレンロセスと同じくスペイサイドにある蒸留所です。
1824年の設立から原酒のほとんどはブレンド用となっていました。
しかし、1980年代入ってシングルモルトの販売に力を入れるようになると、その高い品質でシングルモルトのロールスロイスとまで言われるようになりました。
ブナハーブン
ブナハーブン蒸留所は、アイラ島にある蒸留所です。一般的にアイラ島で造られるモルトウイスキーはアイラモルトと呼ばれ、個性の強いウイスキーです。
ブナハーブンはアイラモルトの中でも、希少なピートをほとんど炊かない製法でつくられたシングルモルトで、軽くクセのない飲み口が特徴です。
タムドゥー
タムドゥー蒸留所は、スペイサイドにある蒸留所です。1897年の創業で、タムドゥー(Tamdhu)はゲール語で「黒い丘」を意味します。
これまで何度も操業を停止していましが、2013年からモルトウイスキーの製造が再開されました。伝統的なフロアモルティングではなく、サラディン式モルティングを導入しています。
ハイランドパーク
ハイランドパーク蒸留所は、オークニー諸島メインランド島カークウォールに位置するスコットランド最北の蒸留所です。
今も使用する量の3割程度ですが、自らフロアモルティングを行っています。
まとめ
「1Q84」や「ねじまき鳥クロニクル」「ダンス・ダンス・ダンス」など、村上春樹の小説に度々登場するスコッチウイスキー「カティサーク」。
ハルキストと呼ばれる村上春樹ファンの中には、小説を読んでカティサークを初めて飲んだという人もいるのではないでしょうか。
カティサークにも色々な種類がありますが、帆船が描かれた黄色いラベルでお馴染みのオリジナルは、ライトでスムーズな軽い口当たりでウイスキー初心者にもおすすめです。
価格もお手軽なので、ぜひ気軽に味わってみてください。